「いつまでこの生活が続くんだろう」
片道30分とはいえ、往復で1時間。
実家に週4日通って買い物・料理・掃除・洗濯の介護が、じわじわと重荷になりはじめます。
自分の時間が取れず、ストレスもピークです。
最後に夫婦で温泉旅行を楽しんだのはいつだったっけ…。
同居で介護をしているわけではないけど、自分の体の不調もあって、在宅介護に限界を感じることはありませんか?
この記事では以下の点について、調査結果や様々なデータをとおしてご解説してまいります。
- 親の介護はいつまで続くのか
- 在宅介護の限界を見極めるポイント
親の介護はいつまでつづく?
親の介護は、親の人生の幕が降りるときまで続きます。
知りたいのはあとどれぐらい、介護と自分の生活を両立させていくのかです。
平均寿命と健康寿命から考える介護期間
平均寿命と健康寿命の違いとは?
- 平均寿命 「0歳における平均余命」
- 健康寿命 「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
簡単にいうと、平均寿命は何歳まで生きるかです。
健康寿命は病気や後遺症で生活に支障を来すことなく、元気に過ごせるのが何歳までかを示します。
平均寿命は2019年の調査では、男性81.41歳・女性87.45歳です。
(厚生労働省資料より)
健康寿命は2016年のデータですが、男性72.14歳・女性74.79歳となっています。
下記は2016年の平均寿命と健康寿命を比較したグラフです。
緑の矢印で示されている男性8. 84年・女性12. 35年というのが「不健康な期間」を指しています。
”不健康”がどの程度、日常生活に支障をきたすかは人それぞれです。
しかしこの数値から10年以上にわたって、介護が続く可能性があることが読みとれます。
2021年度の全国実態調査からわかる介護期間
公益財団法人生命保険文化センターの2021(令和3)年度の調査によれば、平均介護期間は5年1か月です。
一番下のグラフを見ると4年から10年以上を介護期間に費やしたとの回答が、約5割となっています。
介護期間は介護の原因によって、大きく左右されます。
下のグラフは要介護者が介護を必要とするようになった原因を調査したものです。
近年の傾向として、認知症・脳血管疾患(脳卒中)が増加していることがわかります。
男性は認知症が15.2%、脳血管疾患が23.0%です。
女性は認知症の割合が高く20.5%、脳血管疾患が11.2%となっています。
親の介護がいつまで続くのかという疑問に対して、「親が亡くなるときまで」というのは、当たり前の話だと思われることでしょう。
親の介護が5年で終わるか、10年以上続くかはわかりません。
しかし親と過ごせる時間には限りがあることを、忘れないでいただきたいのです。
親の介護は親子であるがゆえに、ストレスとなる状況が生じます。
自分の更年期障害と重なり、介護に限界を感じるかもしれません。
腰痛の悪化で自分の生活・パートタイムの仕事をこなすのが、やっとのような状況も起こりえます。
介護保険は日本人のライフスタイルの変化とともに、家族だけで介護を支えることが難しくなったためにできた制度です。
ショートステイや老人保健施設の短期入所などのサービスを活用して、自分にかかる介護の負担をを積極的に減らすことをおすすめします。
親の担当のケアマネージャーに相談し、介護者のあなたの生活が守れるようにご検討ください。
在宅介護の限界を見極めるポイントは?
在宅介護の限界を見極める、めやすのひとつは「要介護3」です。
介護保険で特別養護老人ホームに申し込みが可能となるのが、要介護3からになります。
そう考えると要介護3という認定は、在宅介護の限界・施設介護に移行するタイミングとして妥当な時期です。
ただ脳血管疾患と認知症では、介護負担の種類も異なります。
それぞれの特徴を考えながら、在宅介護から施設介護に移行するタイミングを見極めていきます。
脳血管疾患の介護の場合
脳血管疾患で要介護3と認定された場合、身体的介護の負担が大きいケースがあります。
介護者にとって、体力面での負担が大きくなるということです。
食事・トイレ・入浴・着替えなどの身のまわりの介助だけでなく、起き上がり・立ち上がり・歩行にも介助が必要になります。
身体機能の障害が大きくても、コミュニケーション能力が保たれると意思疎通は可能です。
脳血管疾患によって高次脳機能障害という後遺症がある場合、介護者の負担が複雑になりがちです。
高次脳機能障害には、執行・失認・半側空間無視・失語症・感情の障害などがあります。
理解力の低下や危険を認識できないといった症状は、介助量が大きくなる原因です。
認知症の介護の場合
認知症が原因で要介護3と認定された場合、記憶の障害に加え徘徊・妄想・不潔行為などの症状が見られます。
介護者にとっては身体的負担に加え、精神的ダメージも大きいのが特徴です。
常に見守りを必要とするため、介護負担が大きくなります。
アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症は、進行性の認知症です。
脳血管疾患では新たな発症がなければ、脳による症状は維持されます。
症状の進行があるというのが、認知症と脳血管疾患との大きな違いです。
認知症では症状の進行を見据えて、在宅介護から施設介護へ移行するタイミングについて早めから検討することをおすすめします。
いつまで在宅介護を続けられるかは状況による
在宅介護を継続するか、施設介護に移行するかを迷う場合があります。
以下の点を考慮してみてください。
- 親の介護量が精神的・感情的・身体的負担になっている
- 介護する人の生活・健康が犠牲になっている
- 親の介護に時間や体力を奪われることでパートナーとの関係や仕事に影響がある
- 介護サービスを活用しても精神的・感情的・身体的疲労の回復が追いつかない
これらの項目が当てはまるようであれば、施設介護について検討する必要があるかもしれません。
親の症状によっては介護の専門職に介護を任せ、家族はサポートにまわるほうがスムーズな関係を維持しやすいケースがあります。
親の介護で自分の生活ペースが乱されて「いつまでこの生活が続くんだろう」と、ふと感じる瞬間がありませんか?
ギリギリまで在宅介護をねばると介護者が疲れきって、燃え尽き症候群などの新たな問題を抱えることもあります。
親の病気について知識を取り入れ、どこまでなら自宅で介護ができるかシュミレーションしてみることが大切です。
「夜間も介護が必要になったら」
「徘徊や不潔行為があらわれはじめたら」
具体的な症状を在宅介護のリミットとして、あらかじめ決めておくことも良い方法です。
施設選びはいかに早く取りかかるかで、選択肢の幅が大きく変わります。
資料やパンフレットを取り寄せるだけでなく、自分で足を運んで見学するのがカギです。
まずはお近くの高齢者施設についての、情報収集からはじめます。
「まだ早い」と思っているといざという時に、高級な有料ホームしか空いていないという事態になりかねません。
大事なお金を賢く守るために、早めの施設探しをおすすめいたします。
施設探しのおすすめサイト
有料ホーム探しに役立つおすすめの、無料相談サイトを2つご紹介いたします。
シニアのあんしん相談室 老人ホーム案内こちらのサイトでは、全国2800以上の高齢者施設の情報を得ることができます。
「宅建主任者」「介護食経験者」など知識・経験のあるスタッフが、こちらの希望・要望に沿った施設を紹介してくれます。
まずはホームページの右上にある「らくらく資料請求」から、パンフレットをいくつか取り寄せて比較してみるのがおすすめです。
高齢者向け住宅選びでお困りになる前に音羽トレンディは医療・リハビリ・地域密着型といった、高齢者向け住宅の情報に強いのが特徴です。
高齢者施設についての相談にも応じてくれるので、資料請求してわからない点があれば納得するまで確認しましょう。
ホームページの右上「お問い合わせはこちら」のオレンジのボタンから無料相談できます。
高齢者施設の検索サイトには、情報に差があります。
おすすめの情報収集は、両方のサイトから施設の資料を請求する方法です。
比較できる対象があることで見学に行く施設を絞り込んだときに、どっちの会社のスタッフと見学に行くか選択肢が広がります。
多くの情報を取り入れることで、より希望に合う施設を探すことができるので、ぜひお試しください。
まとめ:親の介護はいつまで続く?在宅介護の限界を見極めるポイント
この記事では親の介護はいつまで続くのか、在宅介護の限界を見極めるポイントについてご解説してまいりました。
親の介護は、親の人生が終わるまで続きます。
調査結果をとおして親の介護が、10年以上続くかもしれないことについても考えました。
どこかのタイミングで在宅介護から施設介護への移行を検討しておくことは現実的です。
親は病気に加え、年齢を重ねていきます。
脳血管疾患は再発すると症状が重くなる可能性も否定できません。
認知症は進行する病気なので、どこまでなら自宅で介護ができるか考えておく必要があります。
介護をしているうちに、自分の状況が変わることもあります。
施設介護を選択することは、親不孝ではありません。
施設内はバリアフリーで自宅より、移動しやすい環境があります。
職員の目が多い分、見守り・安全確保の面でも有利です。
親を施設に入れるなんて、親不孝だと言ってくる人がいるかもしれません。
介護の大変さを知らない人は、理解できないからです。
過去の自分と同じ苦労を味わせたいと思う親族が、在宅介護の圧力をかけてくる可能性もあります。
その人は自分の苦労が大変だったことを周りに認めてもらえなかったのかもしれません。
大切なのはあなたの心身の健康と、あなたの生活を守ることです。
この記事の情報が、在宅介護に限界を感じているあなたのお役に立てば幸いです。
親の介護には終わりがあります。
でもその終わりがくる前に、あなたがつぶれちゃったらダメなんです。
続けられる介護のカタチを、在宅生活・施設介護を視野に入れて設計してください。
情報収集は、これからの人生設計の基盤になります。
いろいろ比較して、自分と親御さんにあう施設を探してみてください。
「善は急げ」です!
シニアのあんしん相談室 老人ホーム案内 高齢者向け住宅選びでお困りになる前に親の介護を辛く感じる場合は、こちらの記事がおすすめです。
親の介護でイライラする時は、こちらの記事をご参照ください。
「介護うつかも?!」という場合には、こちらの記事をご参照ください。
【介護者向け】簡単セルフケアについては、こちらの記事をご参照ください。