親の介護は突然やってくる!原因になるケガや病気はどんなもの?

「うちの親は元気だから大丈夫」

「うちの親は若いから、介護なんて、まだまだ先の話」

親の介護について、そんなふうに考えてしまうことってありませんか?

親が元気に暮らしていることは何よりですし、ずっと元気なままでいてほしいと思うのは自然な願いです。

ところが、たいていの場合、親の介護が必要になる時は突然やってきます。

そんな状況に置かれたあなたのお役に立てればと考え、この記事を書きました。

このシリーズ記事では以下の3つのポイントについて、現役理学療法士が解説していきます。

お急ぎの方は先にこちらの記事へどうぞ↓

シリーズ記事②はこちら

シリーズ記事③はこちら

まさに今のタイミングで親が倒れてしまったという方

親の介護についてあまり考えたことがなかった方も

ぜひ、親の介護に備えるための知識としてお役立てください。

この記事では親の介護が必要になる原因についてご解説します。

親の介護の原因を予防する対策についてもとりあげました。ぜひ最後までお読みください。

まずは、親の介護が必要になる原因についてお伝えしていきます。

目次

親の介護の原因は骨折・脳卒中・心臓病が多い

骨折・脳卒中・心臓病が親の介護の原因となるケースが多くあります。

後遺症や重症度はそれぞれです。

一概には言えませんが、それぞれどのような介護が必要になるか、具体的に例を挙げてみました。

骨折が原因で親の介護が必要になる

退院時に親の介護が必要になる原因の1つ目は、骨折です。

骨折の多くは、自宅の中や庭先などで起こります。

よく起こる骨折は以下の3つです。

  • 介護の原因① 大腿骨の骨折
  • 介護の原因② 背骨の圧迫骨折
  • 介護の原因③ 手首周辺の骨折

ひとつずつ解説していきます。

介護の原因①大腿骨の骨折

お風呂場で足を滑らせ、転んで大腿骨を骨折するケースが珍しくありません。

玄関周りや庭先での転倒も大腿骨骨折の原因になりえます。

もともと元気な場合、リハビリで歩けるようになることが多いです。

しかし杖が必要になる確率が高く、買い物などの外出時に介助が必要となることがあります。

介護の原因②背骨の圧迫骨折

背骨の圧迫骨折は、バランスを崩してしりもちをついたときに起こりやすい骨折です。

入院して、圧迫骨折だとわかるとコルセットを作製します。

大抵、義肢装具士が採型してくれ、完成させて納品という流れです。

コルセットが完成するまでの期間、患者さんはベッド上で安静に過ごす必要があります。

食事の時もあまりベッドを起こすことができません。

この安静期間のあいだに筋力やバランス能力が低下し、歩行が不安定になります。

また、コルセットが完成してからも、骨折部の痛みはすぐには消えません。

痛みやコルセットの圧迫感からあまり動く気になれず、料理・洗濯、買い物などの外出に介助が必要となることがあります。

介護の原因③手首周辺の骨折

手首の骨折も介助が必要となる原因のひとつです。

こけて手をついたときに、よく起こります。

ギプス固定だけでよければ、入院には至りません。

しかし利き手を骨折した場合、調理や入浴などしばらく介助が必要になることがあります。

手術する場合は入院が必要です。

手術で骨折したところを固定してしまえば、ギプスはいりません。

しかし痛みや動かしにくさが続く間は、料理や買い物に介助が必要になることがあります。

脳卒中が原因で親の介護が必要になる

2つ目に介護の原因となりやすい病気は脳卒中です。

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血を起こした場合、主治医から「介護が必要です」と言われることがあります。

以下の後遺症は自立生活を妨げる要因になるものです。

  • 介護の原因①体にまひが残る
  • 介護の原因②食べ物がうまく飲み込めなくなる
  • 介護の原因③感情・思考の働きに障害が残って生活に支障をきたす
  • 介護の原因④言葉が出てこなくなる

ひとつずつご解説していきます。

介護の原因①体にまひが残る

「片麻痺」と呼ばれる後遺症によって、手・足・体幹がうまく動かなくなります。

手の麻痺が重度であれば、服の着脱・入浴・料理の面で介助が必要です。

足の麻痺は重症度によって、生活に大きな変化を及ぼします。

軽ければ杖を使ってひとりで歩くことができます。

重ければ、立ち上がり・立った姿勢を保持すること・歩くことに支障が出ます。

トイレ・入浴・料理・掃除といった広範囲での介助が必要です。

体幹のまひが強い場合にも、立ち上がり・立った姿勢を保持すること・歩くことに介助が必要になります。

足の麻痺が重度でなくても、体幹のまひが強いと座った姿勢や立った姿勢のバランスがうまく保てなくなります。

入浴・料理・掃除・洗濯・買い物に介助が必要です。

介護の原因②食べ物がうまく飲み込めなくなる

食べ物がうまく飲み込めない症状のことを「嚥下障害」といいます。

舌や喉の筋肉がうまく働かないことで、飲み込んだものが気管に入る状態です。

食べ物を細かく刻んだり、ペースト状にすることで解決することがあります。

水分はとろみをつけることで誤嚥予防が可能です。

本人にとってどんな食事や飲み物のとろみが摂りやすいかは、言語療法士や看護師に確認してください。

自分でおかずを刻んだり、とろみをつけることができればいいのですが、難しい場合には料理に介助が必要です。

介護の原因③感情・思考の働きに障害が残って生活に支障をきたす

脳卒中の後遺症として、感情・思考の働きの障害があります。

脳の障害によって、うまく感情をコントロールできない状態です。

「高次機能障害」と呼ばれるものです。

感情の障害は、介護者にとって大きな負担になります。

思考の働きに障害が残ると、料理・買い物・薬の管理・お金の管理など広範囲でのサポートが必要です。

「失行」「失認」といった後遺症は、食事介助・服の着脱・外出時に介助がいります。

高次機能障害の症状は、本当に人それぞれです。

どのように介助すればいいか、リハビリスタッフや看護師に相談しながら、後遺症とつきあうことをおすすめします。

介護の原因④言葉が出てこなくなる

言葉が出てこなくなる症状を「失語症」といいます。

言葉が出ても、頭で考えて言いたい言葉とは違う言葉が口から出てしまうという症状も、失語症のひとつです。

失語症になると、電話対応・買い物に介助を必要とする場合があります。病院の受診にも介助が必要です。

心臓病のために親の介護が必要になる

自宅退院で介護が必要となる3つ目の原因が、心臓病です。

狭心症や心筋梗塞は薬の内服・手術により、自分の身の回りのことは自立して行えるようになります。

しかし、症状が重い場合には介助が必要です。

主治医から運動量を制限するように言われたり、動くとしんどくなるケースがあります。

料理・掃除・洗濯・買い物・外出時の付き添いといった面でのサポートが必要になるかもしれません。

親の介護の原因を予防する

ここまで、親の介護が必要になる原因についてとりあげました。

骨折・脳卒中・心臓病の3つです。

最後に親の介護が必要になる原因に対する予防策をご紹介します。

骨折を予防するため環境を工夫する

この記事で取り上げた骨折を予防するために、以下の点を見直すことが役立ちます。

転倒予防のために再確認!
  • 床や通路に物を置かない
  • 浴室の床にすべり止めマットを敷く
  • 玄関の段差は2段に分けてつまづきにくくする

年齢を重ねると片付けをすることが面倒になります。

親の部屋に物が積み上がっていたり、足の置き場がない状態になっているならやんわり声をかけてください。

自宅の環境を整備し、元気なうちからケガを未然に防ぐことが大切です。

例えば浴室の床のすべり止めマットには以下のような商品があります。

石鹸やシャンプーの泡で滑りやすいからこそ、すべり止めマットを敷いておくことが役立ちます。

洗面器に手を伸ばしたり水道の蛇口をひねったりと、お風呂場では意外にバランス能力が求められる動作が多いのが特徴です。

足もとに滑りにくい素材のマットを敷いておくだけで、ふんばりやすくなり安定感が変わります。

玄関の上がりかまちの段差を小さくするのに踏み台を活用する方法も有効です。

玄関の上がりかまちの高さにつまずいて、バランスを崩すケースもよく見られます。

上がるときに転倒すると、膝のお皿の骨が折れることがあります。

降りるときにしりもちをつくと、背骨の圧迫骨折になりやすいです。

特に高齢者は膝の痛みをお持ちの方が多く、段差の上り下りで痛みが強くなると力が抜けてしまい、バランスを崩しやすくなります。

こちらの商品は幅60㎝と比較的小さ目の設計なので、玄関に設置しやすいサイズです。

「転ばぬ先の杖」とはよく言ったもので、転倒を防ぐために早めに手を打つのがおすすめです。

脳卒中・心臓病を予防するため、生活習慣を改善する

脳卒中・心臓病を予防するために、以下の点を振り返ることをおすすめします。

脳卒中・心臓病を予防するために
  • 早寝早起きを心がける
  • 規則正しい食生活を保つ
  • 十分な睡眠をとる
  • ストレスを溜めない

健康は当たり前のものではありません。

生活習慣を整えることで、高血圧・血糖値のコントロール・脂質の代謝異常を改善できます。

日頃の生活を振り返り、改善できることがあれば取り組んでみましょう。

まとめ:親の介護は突然やってくる!原因になるケガや病気はどんなもの?

この記事では、骨折・脳卒中・心臓病が原因でどのような介護が必要になるかを解説してきました。

ぜひこの記事の情報を役立てて、ご家族の平和な日常を大切に過ごしてください。

親の介護が必要になることが予想されるケースにおいて、入院初期に子どもたちにはどんなことができるでしょうか。

その点については、親の介護は突然やってくる!退院までにできることは?【入院初期編】をご覧ください。

もう退院準備がはじまりそうな方はこちらの記事をご覧ください。

介護に不安を感じる場合はこちらの記事もおすすめです。

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