土砂災害について知って避難行動要支援者と自分の命を守る!

大雨のあと増水した川

土砂災害は集中豪雨や台風が生じたときに起こりやすい自然災害です。

土砂災害が発生しやすい地域ではあらかじめ災害の発生を想定しておくことで、被害を最小限にとどめることができます。

土砂災害の前触れをご存知でしょうか?

土砂災害が発生しやすい場所・時期についてはいかがでしょうか?

土砂災害について知ることは身を守ります。

ご一緒に土砂災害についての理解を深め、避難に介助を必要とする「避難行動要支援者」と自分の命を守る知識を手にいれましょう。

まずは土砂災害の種類と前兆現象についてご解説してまいります。

目次

土砂災害の種類と前兆現象を知って要支援者と自分の命を守る

土砂災害は以下の3つに分類されます。

  • がけ崩れ
  • 地すべり
  • 土石流

それぞれの特徴と、前兆現象(前触れ)についてひとつずつお伝えいたします。

「がけ崩れ」の特徴と前兆現象とは?

がけ崩れが起こり住宅が土砂に飲み込まれているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

「がけ崩れ」とは斜面の地表に近い部分が大雨や地震等でゆるみ、突然崩れ落ちる現象です。

傾斜が30度以上ある斜面で起こりやすいとされています。

がけ崩れは崩れ始めから崩れ落ちるまでの時間が短いのが特徴です。

雨が止んだ後に起こることもあるため、雨がやんでも数時間は注意します。

次のような前兆現象に気づいたら、すぐに斜面から離れる必要があります。

  • がけにひび割れができる
  • 小石がパラパラ落ちてくる
  • がけから水が湧き出る
  • 湧き水が濁る・止まる
  • 地鳴りがする

がけ崩れは人家の近くで起きると逃げ遅れるケースが多く、命を奪うことの多い災害です。

前兆現象に気づいたら周囲の人にも伝え、すぐに避難します。

避難所への移動が難しい場合は、崖から離れた2階の部屋に避難を!

「地すべり」の特徴と前兆現象とは?

地滑りに住宅街が巻き込まれているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

「地すべり」とは斜面の一部あるいは全部が、斜面下方に移動する現象です。

地下水の影響と重力によって傾斜のゆるい斜面が移動します。

移動する範囲が大きいため、甚大な被害をもたらすことが多いのが特徴です。

以下のような前兆現象があります。

  • 地面のひび割れ・陥没
  • がけや斜面から水が噴き出す
  • 井戸や沢の水が濁る
  • 地鳴り・山鳴りが聞こえる
  • 樹木がかたむく
  • 地面に亀裂や段差が生じる

雨水や雪解け水が染み込んで起こることもあります。

地震が原因で起こる地すべりもあるため、注意が必要です。

広範囲の地面が動くので、斜面からなるべく遠くに離れる!

「土石流」の特徴と前兆現象とは?

土石流により、山の麓の住宅が押し流されているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

「土石流」とは、山腹・川底の石・土砂が大量の雨によって一気に下流へ押し流される現象です。

梅雨や台風の時期に起こります。

雪解け水で発生することもあるので、春先にも注意が必要です。

以下のような前兆現象に注意します。

  • 山鳴りが聞こえる
  • 急に川の水が濁り、流木が混ざりはじめる(上流の山が崩れている)
  • 腐った土の匂いがする
  • 雨が降り続いているのに川の水位がさがる(=上流で土砂により流れがせき止められている。危険が迫っている!)
  • 木が裂ける音・石がぶつかりあう音がする(=上流の崩れた山から大きな石が流れてきている)

土石流は山から崩れた土や石が水と一緒にものすごい勢いで流れ下ってきます。

早いときは時速40km以上になり、大きな岩を流すこともまれではありません。

土石流から逃げる場合は、川から離れてなるべく高いところに上がる!

土砂災害が発生しやすい時期を知って要支援者と自分の命を守る

斜面が崩れ住宅が土砂災害に巻き込まれているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

土砂災害は長雨により地中にたくさんの雨が蓄えられているところに、さらなる大量の降雨で発生しやすくなります。

以下の時期にはふだんより注意が必要です。

  • 3月~5月の雪解けの季節
  • 6月~7月の梅雨の時期
  • 8月~10月の台風の時期

「集中豪雨」「ゲリラ豪雨」「線状降水帯」「局地的大雨」といった表現が天気予報で報道される場合は土砂災害の発生も念頭に。

地震・火山の噴火後にも土砂災害は発生しやすくなります。

土砂災害が発生しやすい時期には前兆現象に注意し、避難行動要支援者と自分の命を守る行動につなげることが大切です。

土砂災害が発生しやすい場所を知って要支援者と自分の命を守る

土砂災害の起きやすい地形があります。3つの特徴的な地形は以下の通りです。

  • 扇状地
  • 造成地
  • 急傾斜地

ひとつづつご解説してまいります。

扇状地では山間部の局地的大雨に注意

扇状地で発生した土石流。男の子が高い方へ避難しているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

扇状地では山間部の局地的大雨・集中豪雨に注意が必要です。

山間部で大雨が降ると山崩れが起こり、土石流雨となって扇状地に流れ下ります。

川の上流の降雨量に注意し、土石流の前兆現象がないか観察することが重要です。

山から流れてくる川の様子に異変を感じたら、すぐに避難してください。

造成地は長雨に注意

造成地に建てられた住宅地。大雨で地面に亀裂ができているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

盛土地では地質が不安定になりやすく、大雨が降ると地盤がゆるみ土砂災害が発生することがあります。

2021年に発生した熱海市伊豆山土石流災害は、記憶に新しい土砂災害です。

熱海市伊豆山地区の逢初川上流の盛土が崩壊し、地すべりと大規模な土石流が発生しました。

造成地すべてが危険なわけではありません。

造成地の締め固めが不十分・柔らかい土を急斜面に造成・地下水位が高いといった条件が重なると地すべりやがけ崩れにつながりやすくなります。

急傾斜地では集中豪雨に注意

斜面にある住宅地。地面に亀裂ができ、水が噴き出しているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

急傾斜地とは、傾斜度が30度以上である土地とされています。

(「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律」急傾斜地法第2条)

急傾斜地では集中豪雨によるがけ崩れに注意が必要です。

場所によっては「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されていることもあります。

がけ崩れは発生から短時間で被害をもたらします。

がけ崩れの前兆現象に気づいたら、早めに避難することが必要です。

住んでいる地域の土砂災害のリスクを知って命を守る

土砂災害は住んでいる地域の地形が関係しやすい災害です。

自分が住んでいる地域の特徴を知って、土砂災害に備えることができます。

「土砂災害危険箇所」とは?

川のすぐ近くにある家。川は雑炊し濁流に流木が混ざっているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

自分の住んでいる地域が「土砂災害危険箇所」に指定されていないか確認します。

国土交通省のハザードマップポータルサイトから確認可能です。

土砂災害危険箇所とは、「1/25,000地形図で土砂災害のおそれがある箇所を図上から想定した箇所。」とされています。

土石流危険渓流、地すべり危険箇所、急傾斜地崩壊危険箇所の総称です。

国土交通省の要請により、各都道府県が実施した調査に基づいて指定されています。

2001年4月から土砂災害防止法が施行され、「土砂災害危険箇所」から「土砂災害警戒区域」と呼ばれている場合もあります。

各都道府県のホームページで「土砂災害警戒区域」調べることが可能です。

最新の状況については市町村に問い合わせると教えてもらえます。

「土砂災害(特別)警戒区域」とどう違う?

住宅街の道路に亀裂ができているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

土砂災害特別警戒区域」とは、土砂災害防止法によると以下のような箇所を指します。

土砂災害危険箇所のうち市町村の都市計画図や空撮により、整備した1/2,500地形図により現地調査を行い、土砂災害のおそれがある箇所を土砂災害防止法に基づき区域指定した箇所。

「急傾斜地の崩壊・土石流・地すべりが発生した場合に住民等の生命または身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域」とも定義されています。(土砂災害防止法第6条)

ポイントは、目的の違いです。

「土砂災害危険箇所」は土砂災害の実態把握・危険箇所の周知を目的としています。

「土砂災害(特別)警戒区域」は土砂災害の恐れのある箇所の周知と災害から住民の生命を保護することが目的です。

自分の住んでいる地域が土砂災害警戒区域に含まれていないか確認することをおすすめします。

土砂災害の危険性に関する情報を知っているかどうかは、避難行動要支援者と自分の命を守れるかを左右するほど大切です。

集中豪雨や地震の後など、土砂災害に注意が必要な場合に情報を役立ててください。

「土砂災害警戒情報」を確認して要支援者と自分の命を守る

家族で気象情報をテレビで見ているイラスト。
資料提供 NPO法人土砂災害防止広報センター

土砂災害警戒情報」は、大雨により土砂災害の危険度が高まったときに、都道府県と気象庁が共同で発表する情報です。

以下の方法で「土砂災害警戒情報」を知ることができます。

大雨に対する警戒が呼びかけられた場合には、注意報・警報にも注意を向けます。

以下の図を参考に、避難行動要支援者と共に避難する場合は、警戒レベル3で行動を開始してください。

気象庁の出す警報・市町村の出す「警戒レベル」と住民がとるべき行動が表になっている。
気象庁ホームページより引用

土砂災害(特別)警戒区域等に自宅が含まれていて、夜間~翌日早朝にかけて大雨警報が発表される可能性が高い場合は、自主的に早めの避難を検討します。

大雨警報(土砂災害)が出された場合は、土砂災害警戒区域の外の安全な場所へ避難が必要です。

どこに避難するか、あらかじめ相談しておくと安心です。

避難所・親戚や友人宅・ホテルなどを候補に検討できます。

大雨特別警報(土砂災害)が発表された場合は、これまでに経験したことのないような異常な大雨となり、何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況となります。

必ず警戒レベル4までに避難を済ませることが大切です。

内閣府のLINE公式アカウントから提供される避難行動判定フローを参考にすることもできます。

LINE公式アカウント「内閣府防災」(LINEID:@bosai)

避難行動要支援者と離れて住んでいる場合は、「土砂キキクル」を活用して危険な地域にいる家族に避難を呼びかけます。

わたしの住んでいる岡山県では2018年7月に西日本豪雨が発生しました。

テレビで得られる情報よりも、Twitterや国土交通省の川の防災情報のサイトが頼りになりました。

リアルタイムで自分の近くで何が起こっているのか、川の水位がどこまで上昇しているのか知ることができたからです。

自分の住んでいる地域と、義実家の地域の河川をスマートフォンを握りしめてモニタリングし続けていました。

災害発生時はかに最新情報を取り入れられるかがカギです。

最新情報を取り入れるのが難しいご家族が遠方にお住まいの場合は、ぜひ情報をLINEなどのメッセージで伝えてください。

避難すべきかどうか判断が難しければ、自宅にいるべきか避難すべきか一緒に考えることもおすすめします。

親の自宅から避難所までの経路を把握しておくと、非難をすすめるべきかどうか、ひとつの判断材料になります。

避難時の注意点は、集中豪雨の場合の注意点と同様です。

  • 電気のブレーカーを切り、ガスの元栓を締める
  • 戸締まりを忘れない
  • 動きやすい服装の上に、レインコートを着る(上下分かれている方が動きやすい)
  • 軍手・ヘルメットを着用する
  • スニーカーなど、脱げにくい靴を履く(長靴は水が入ると脱げやすいためNG)
  • 山のそばの道路などがけ崩れ・土石流のおそれのある道は通らない
  • 水たまりがすでにできているところでは傘・杖を使って路面を確認する

土砂災害の中には地滑りのように、発生から短時間で被害を出すものもあります。

早めの避難を意識して「難を逃れる」よう心がけてまいりましょう。

まとめ:土砂災害について知って避難行動要支援者と自分の命を守る!

この記事では以下の点についてご一緒に考えてまいりました。

  • 土砂災害の種類と前兆現象
  • 土砂災害が発生しやすい時期と場所
  • 住んでいる地域の土砂災害のリスクを知る
  • 「土砂災害警戒情報」を確認して要支援者と自分の命を守る

3月から10月は土砂災害のリスクが高い時期です。

また地震発生後にも土砂災害に注意する必要があります。

毎年日本では土砂災害が発生し、甚大な被害も生じてきました。

この記事の情報が介護をされている場合や、避難行動要支援者のご家族をお持ちの皆さまのお役に立てば幸いです。

災害時の全体的な備え方についてはこちらの記事をご参照ください。

非常食を選ぶとき、「尾西の白飯」の実食レポはこちらをご覧ください。

集中豪雨に備える情報はこちらの記事をご参照ください。

台風のときの避難についてはこちらをご参照ください。

地震の場合の避難についてはこちらの記事をご参照ください。

自宅避難するための停電対策についてはこちらの記事をご参照ください

自宅避難をするための断水対策についてはこちらをご覧ください。

ウォーターサーバーについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください

非常持ち出しリュックの準備がまだの方はこちらをチェック!!

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リュックは40Lひとつで大きめなので、セット品を入れても余裕があり必要に応じて追加することができます。

防災のプロがチョイスした非常用グッズに、家族のニーズにあわせてカスタマイズするだけです。

大雨のあと増水した川

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